当番世話人挨拶


 

中川 昌之

第34回腎移植・血管外科研究会 当番世話人
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 泌尿器科学分野 教授

 

 

ご挨拶

_皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さてこの度、2018年5月25日~26日に第34回腎移植・血管外科研究会を鹿児島市で開催させていただくこととなりました。30年以上の歴史のある本研究会を主催できますことは、教室員また同門会員一同にとりまして大変な名誉なことと存じております。
_第34回腎移植・血管外科研究会のテーマは「次世代の腎移植を思考する -島嶼・へき地医療に鍵を求めて- 」とさせていただきました。昨今では免疫抑制剤や術前検査の進歩により腎移植の生着率が向上しています。しかし、献腎移植はドナー不足によりその数が減少しています。腎移植を推進、活性化していくためには、献腎移植の啓発・普及が不可欠です。翻って、島嶼・離島の医療をみますといろいろと勉強になることがたくさんあります。
_ご存知のように、世界の末期腎不全の代替医療(2009年統計)では、血液透析の占める割合は69%、腎移植が23%、CAPDが8%です。一方、日本(2009年統計)では、血液透析は93%、腎移植4%、CAPD3%と非常に血液透析に偏った医療がなされています。離島の一つである奄美大島の奄美中央病院(2009年統計)では、血液透析は79%、腎移植は16%、CAPDが5%と世界の統計に近い医療がなされています。つまり移植の比率が高くなっています。これは、離島では都会と違って簡単に透析施設にアクセスできないこと、つまり医療資源に限りがあること、隣人との垣根が低く住民間交流が盛んなことなど、都会とはその環境や健康に対する意識や医療に対する考え方が違っていることが要因と思われます。また島嶼・離島の暮らしでは自らが体を動かすことが基本ですので、ある意味で疾病が起こりにくい環境とも言えます。このように、都市部に住んで最先端医療ばかりを追求しているわれわれも、これらの島嶼・離島での生活や医療を通して、腎移植医療を再考することも重要かと思います。
_このような観点から、今研究会では、腎代替療法の治療選択においてバランスのいい医療とはどのようなものか、移植までのブリッジングや移植後のCAPD導入についての議論、さらにはエクセサイズがもつ可能性や最近話題の腎臓リテーションついても考えてみたいと思います。また、離島では顔の見える関係があります。行政と腎代替療法、地域社会と腎代替療法についても考察したいと思います。島嶼でも諦めない、島嶼だからできる、都会でもまだまだ取り組むべきことは多いし、我々は島嶼・離島から学ぶことが多いと考えます。
_会場は鹿児島市民文化ホールを予定しております。5月末の鹿児島は気候も温暖で、緑さわやかな季節です。周辺には多くの観光スポットや温泉もございます。是非とも多数の皆様のご参加をお待ち申し上げております。